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Vol.70 “忘れてしまいたい不快な出来事”こそ記憶に残りやすい

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忘れてしまいたいようなイヤな出来事ほど忘れられない…。こうした経験は、誰もが一度は味わったことがあるのでは? この事実は、今まで科学的に立証されたことはありませんでしたが、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のK. ペイン准教授らによって、実験的に明らかになりました。

感情的な痛みを伴う記憶は忘れにくく、それがビジュアルイメージとして残ってしまった場合、簡単に消し去ることはできないといいます。

ペイン准教授らは、旧友の電話番号や面会時間の変更などは、記憶を意図的に消去できるにもかかわらず、試験で失敗したり身近な人から否定的な発言をされたりした記憶は、なぜか時間が経っても忘れられないことから、感情とリンクした記憶は残りやすいのではないかと考えました。

先行研究は言葉のみへの反応を調査したものが多いことから、ペイン准教授らは、より感情を喚起させる意図のもと、言葉に合わせて写真を使用しました。218人の被験者を対象に行った実験では、客観的で中立的な言葉と対になった写真、「死」「性」などの感情を喚起する言葉と対になった写真を見せて、忘れにくさを比較しました。

その結果、快、不快にかかわらず、感情を喚起させた方が記憶に残りやすく、忘れようとしても忘れにくかったといいます。ペイン准教授は、感情が意識的なコントロール機能を妨げることで、記憶に残りやすくなるのではないかと結論付けています。

(Journal of Experimental Social Psychology 2007年9月号)
by womanhealth-lab2 | 2008-06-19 17:14 | 海外の医療健康情報
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