第65回日本栄養・食糧学会大会 注目トピックス

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食品に関するさまざまな研究発表が700題以上も集まる、日本栄養・食糧学会大会。今年は食の安全、食品成分の機能性、メタボリックシンドローム、そして災害時における栄養・食糧問題などが取り上げられた。(会期:2011年5月13日~15日 会場:お茶の水女子大学) そのなかから一部、注目のトピックスをピックアップ。

母乳が嫌いになるわけ
うま味の情報は、妊娠3ヵ月頃の胎児にすでに「味蕾」という味覚情報を感知する組織が存在することからも、ヒトの発生初期から形成されることがわかっている。おいしそうに母乳を飲んでいた赤ちゃんが離乳する理由は、生後120日前後では感知できなかった
「塩味」を感知するようになり、塩分濃度の薄い母乳が好まれなくなり、やがて離乳食を進んで食べるようになるからだという。

甘味には依存性がある
うま味、塩味、甘味は、全て海馬を刺激するが、甘味だけは依存性に関係する「側坐核」が反応した。このような脳の反応から、甘味には依存性があるので注意が必要であることが指摘された。ミネラル吸収を高めるツイントース食物繊維やオリゴ糖は消化されずに腸管に残り、腸内細菌の活性化など、さまざまな生理作用を発揮する。「ツイントース」(学術名DFAⅢ)というオリゴ糖が、カルシウム、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルの吸収を高めることが報告された。ツイントースは、小腸ではシグナルを送って、腸にある栄養の吸収をコントロールする「タイトジャンクション」という穴を開き、大腸では腸内を酸性にすることでタイトジャンクションを透過しやすくするという。

DHAはα ‒リノレン酸でまかなえる!?
魚油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳や心臓血管系の健康を保つために有効な脂肪酸だが、α ‒リノレン酸を原料にして、脳と肝臓で微量ではあるがDHAを作ることができる。実際にその生産能力をラットで調べた研究結果が報告された。その結果、α ‒リノレン酸のみの投与でも、肝臓では脳の約6倍ものDHAが生産され、必要量を十分に満たしているという。

肉の香りは桃、ココナッツ
肉のおいしさは香りと食感で、「和牛香(和牛を熱したときに生じる香り)」には、ココナッツや桃の香りの成分があるという。うま味に関しては、層畜後に、筋肉のATPが酵素分解されて、カツオ節などのうま味成分でもあるIMP(イノシン酸)に変化するという。

10代のカルシウム不足は食育で改善
ヒトの骨量は男性の場合17〜18歳頃ピークを迎え、女性は14~15歳頃最大骨量になるという。この時期のカルシウム摂取量と実際の摂取量を比較すると、 10代の子どもたちがカルシウム不足であることが明らかになった。これを改善するために実験的に食育介入し、カルシウムの必要性などを子どもたちに教育した結果、カルシウム摂取量が上昇したという。

減塩ブームと食中毒のジレンマ
このほか、減塩ブームで塩辛の塩分濃度が低下したことによる食中毒の発生増加現象が取り上げられ、食品衛生と減塩食のバランスについても興味深い報告があった。

取材・文/宇山恵子
引用:HBR会員誌2011年6月号 p91
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# by womanhealth-lab2 | 2011-07-30 09:55 | 日本の医療健康情報