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Vol.140 褐色脂肪細胞を増やすタンパク質

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わたしたちの体にある脂肪細胞には、「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」があります。「白色脂肪細胞」は、余分な脂肪を必要な時にエネルギーに換えるために貯蔵されている細胞で、体全体に分布する皮下脂肪とお腹周りの皮下脂肪よりも内側、内臓周辺につく内臓脂肪があります。白色脂肪細胞が増えすぎると肥満になり、特に内臓脂肪が増えすぎることで代謝の異常を引き起こします。

一方、褐色脂肪細胞は、体温調節のために脂肪細胞をエネルギーに換えて燃焼し、放出する働きを持つ脂肪細胞。成人の褐色脂肪細胞はわずか40g程度しかなく、生まれたときが最も量が多く、成長と共に次第に減少します。首、肩甲骨、心臓、腎臓などの周辺に分布し、運動や寒さなどで少し増えるといわれています。褐色脂肪細胞が少ないと、エネルギーの産生が低く、基礎代謝量も少ないそうです。

このような褐色脂肪細胞の性質から、肥満予防や肥満治療のために、褐色脂肪細胞を増やす方法についてさかんに研究されています。

アメリカ・ボストンのディナ・ファーバーがん研究所のブルース・シュピーゲルマン博士らが、オンラインの『Nature』に発表した内容によると、分子スイッチによって、褐色脂肪細胞を作り出すスイッチをオンできる可能性が発見されたそうです。

褐色脂肪細胞が赤ちゃんのうちに多く、成長すると少なくなるのは、寒いときに「小刻みに震える」ことによって体温を上昇させることができない赤ちゃんが、寒いときに褐色脂肪細胞を分解してブドウ糖と熱を作り出すことで、寒さを凌げるように蓄えられたと考えられます。

以前は、大人になると、褐色脂肪細胞は働かなくなるとされていましたが、最近では運動や寒さの刺激で増やすことができるといわれています。

さらにシュピーゲルマン博士らの研究では、PRDMというタンパク質が、褐色脂肪細胞の前駆細胞を増やすことに関係していることがわかりました。しかしこの作用には、もう1つのタンパク質が必要で、これがC/EBP-βで、この2つのタンパク質を結合させることで、筋肉前駆細胞を褐色脂肪細胞に換えることができることが解りました。

どちらか一方のタンパク質だけでは褐色脂肪細胞は増えず、2つを結合させることにより増えることが、マウスの皮膚細胞の移植によって確認されました。

この結果について、シュピーゲルマン博士は、さらに多くの信頼性の高い研究結果が必要だが、患者の組織を採取して、褐色脂肪細胞を増やし、それを移植したり、同じような効果を持つ自然由来のホルモン成分や、薬を開発することによって、肥満や糖尿病の治療に活用できるかもしれないことを示唆しています。
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by womanhealth-lab2 | 2010-06-01 11:48 | 海外の医療健康情報

Vol.139 妊娠中の大気汚染と子供の知能

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アメリカ・コロンビア大学のフレデリカ・ペレーラ博士らが、オンラインの『Pediatrics』に発表した研究結果によると、母親が妊娠中の大気汚染が、生まれてきた子供たちの知能の発達に悪影響を及ぼしているかもしれないことがわかりました。

この研究は、ニューヨークのサウスブロンクス、ハーレム、ワシントンはいつなどに住む18歳から35歳までの妊婦(黒人とドミニカ系アメリカ人で、タバコは吸わない)249人を対象に、妊娠中から5歳までの成長のようすを観察。

妊娠中に過ごした場所の大気汚染の度合いを3ヶ月間に渡り計測したところ、全体の56.2%が大気汚染のレベルが高い地域に住んでいました。

さらに5歳になった時点で、子供たちの知能検査を行ったところ、大気汚染にさらされていた子供たちは、そうでない子供たちに比べて、約4ポイントもIQ値が低かったそうです。

大気汚染のおもな原因は、多環芳香族炭化水素で、ガソリンなどの化石燃料や炭素系の物質(タバコや脂肪など)を燃やしたときに発生するもので、発がん性が認められているものもあります。

多環芳香族炭化水素は、DNAを損傷したり、酸化ストレスを高めたり、内分泌系を破壊してしまう可能性があり、今回の結果についても、「たった4ポイントのIQの低下だと思わずに、平均値よりも4ポイントも差があることに注目し、原因を解明する価値は十分ある」と他の研究者も述べています。

ペレーラ博士らはさらにこのグループの子供たちが10歳まで成長した時点での調査を継続するそうです。

Primary source: Pediatrics
Source reference:
Perera F, et al "Prenatal airborne polycyclic aromatic hydrocarbon exposure and child IQ at age 5 years" Pediatrics 2009; DOI: 10.1542/10.1542/peds.2008-3506.
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by womanhealth-lab2 | 2010-06-01 11:46 | 海外の医療健康情報