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Vol116.怒りと不整脈の関係

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エール大学のレイチェル・ランパート博士らの研究によると、激しい怒りを感じた心臓病のハイリスク患者は、怒りを感じなかった患者に比べて11回も不整脈が多く発生していることがわかりました。

これはT波交互脈(T-wave alternans)検査という胸に電極をつけて、トレッドミルの上を歩きながら、心臓の電気的な動きを感知しながら測定するもので、T波が高い人は、不整脈の発生率が高く、突然死のリスクも高いといわれています。

研究は、冠動脈疾患、または拡張心筋症で植込型除細動器(ICD:死に至る危険性のある不整脈によって、不整脈発作を起こし、心臓突然死などにならないように、植込型除細動器を移植することがあり、2時間前後の手術で、1週間程度で退院できます)が必要と診断された患者62人を対象に37ヶ月の調査を実施。

トレッドミル歩行中に、怒りを覚えたことを思い出してもらって、T波交互脈の発生について観察しました。

その結果、T波の多い患者は、T波の少ない患者に比べて、11.9回も多く不整脈を起こしていることがわかりました。

博士らは、さらに詳しい研究が必要であることを前提に、感情が引き起こすT波の不安定性は、ストレスや突然死などに大きく影響していることを指摘しています。

ただしこの研究に参加した患者らは、ほとんどが、T波を少なくするβ遮断薬を服用し、研究参加者も少ないことなどを注意点としてあげています。

最後に今まで行ってきたT波検査に加えて、怒りの感情などのストレスをかけた状態でのT波の検査を実施して、将来の突然死のリスクを予測し、予防に役立てられるかもしれないことを提案しています。
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by womanhealth-lab2 | 2009-10-11 11:29 | 海外の医療健康情報

Vol115.パーキンソン病とメラノーマの関係

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メラノーマ(黒色腫)の家族歴がある患者さんは、パーキンソン病の発症リスクが高いかもしれないことを、ハーバードメディカルスクールのシャン・ガオ教授らが発表しました。

親か兄弟にメラノーマを発症した人がいる人は、そうでない人に比べて、約2倍も、パーキンソン病を発症するリスクが高いことを教授らが指摘しました。「この結果は、メラノーマとパーキンソン病が同じような遺伝子構造を持つことを示唆しています」と博士は言います。

これまでの研究では、パーキンソン病がメラノーマと関係があることを指摘されましたが、それは色素沈着に関係する遺伝子と2つの病気の発症に関係があること、またそれらの遺伝子がドーパミンの合成能力の低下やメラニンの過剰発生にも関係することが推察されています。

この研究は、パーキンソン病ではない131,995 人を14年から20年ほど追跡調査し、その結果、543人がパーキンソン病を発症しました。

パーキンソン病を発症した543人について、家族のメラノーマ歴、肺がん、大腸がん、前立腺がん、乳がんなどとの関連についても調べた結果、メラノーマの家族歴がある人が多いことが判明しました。

ガオ博士は「メラノーマの遺伝子決定因子が、パーキンソン病を誘発するかもしれない仕組みについて、研究を進めたい」と述べています。

今回の研究について、遺伝子研究レベルでは2つの病気の関連性がわかっていましたが、易学的にも大きな関連性を示唆したということで高く評価されています。

Primary source: American Academy of Neurology
Source reference:
Gao X, et al "Family history of melanoma and Parkinson's disease risk" AAN 2009
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by womanhealth-lab2 | 2009-10-11 11:27 | 海外の医療健康情報

Vol.114 女性ホルモンパッチが前立腺がん治療に有効かも?

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現在進められる臨床試験の結果によると、女性ホルモンの一種『エストロゲン』が含まれたパッチを皮膚に貼って吸収させることで、進行性の前立腺がんのホルモン療法に有効である可能性が認められています。

皮膚に貼って、皮膚から吸収させるエストロゲンは『黄体形成ホルモン放出ホルモン』(黄体ホルモンの生成を促進する物質)の誘導体(経口薬)と同じように、テストステロンやPSA(前立腺特異抗原:前立腺の異常を示すバイオマーカー)の数値を下げることが、ロンドンの医療審議会に所属するラス・ラングレー博士によって、『尿生殖器がんシンポジウム』で、発表されました。

さらにエストロゲン貼付による前立腺がん治療では、従来の男性ホルモン剥奪療法につきものの骨密度の低下がみられませんでした。
(女性ホルモンのエストロゲンには、骨量を保つ働きがありますから、閉経でエストロゲンが激減する50代以降の女性たちが骨粗しょう症に注意しなければいけないのは、そのためです)

研究結果から、エストロゲンは、『黄体形成ホルモン放出ホルモン』誘導体が、男性ホルモンのテストステロンを低下させるのと同様の効果を持ち、さらに前立腺の異常を示すPSA(前立腺特異抗原)を減少させると考えられるそうです。

しかし今回の研究結果では、200人の研究参加者の心血管障害リスクについて分析されていません。

エストロゲンの経口投与は、1960年代に、前立腺がん治療に用いられましたが、この治療法は、心血管障害による死亡との関連性が疑われ、普及しませんでした。

この件に関してラングレー博士は「経口薬のエストロゲンを使用する場合、心血管障害を起こすリスクは、肝臓の代謝機能に大きく関わっており、皮膚からの吸収の場合は、肝機能に依存しないため、あまり関連性がないのではないかと考えられる」とコメントしています。

最初の研究では、20人の前立腺患者にエストロゲンパッチを投与した結果、男性ホルモン値を下げることに成功すると同時に、心血管障害を起こす人もなく、1人が浮腫を起こしただけでした。

この結果をベースに、172人の患者に参加してもらい、①『黄体形成ホルモン放出ホルモン』(黄体ホルモンの生成を促進する物質)の誘導体を経口服用してもらうグループ、②週に2回エストロゲンパッチを3枚貼るグループ、③4枚貼るグループに分けました。
(実験に使われたエストロゲンパッチは、1枚で1時間かけて100μgのエストロゲンを吸収させます)

エストロゲン、テストステロン、PSAの値は、研究開始後、4週間後、3ヵ月後、その後は6ヶ月ごとに測定し、さらにPSAは9ヶ月、15ヶ月、21ヶ月で測定しました。

研究開始4週後に、『黄体形成ホルモン放出ホルモン』(黄体ホルモンの生成を促進する物質)の誘導体を経口服用した①グループの60.6%、エストロゲンパッチ3枚貼付の②グループの66.6%、③の4枚グループの90.9%が、テストステロン濃度が50ng/dL未満(去勢手術した時と同様のレベル)に低下していました。

さらに、6ヵ月後には、それぞれのグループの男性ホルモンとPSAの平均値は、『黄体形成ホルモン放出ホルモン』(黄体ホルモンの生成を促進する物質)の誘導体を経口服用した①グループでは14.3 ng/dLと0.9ng/dl、エストロゲンパッチ3枚貼付の②グループでは28.6 ng/dL と3.2ng/dl、4枚貼付の③グループでは22.9 ng/dLと1.3ng/dl でした。

更なる調査結果の報告が待たれるところです。

Primary source: 2009 Genitourinary Cancers Symposium
Source reference:
Langley RE, et al "PATCH, a randomized phase II trial of estrogen patches versus LHRH as first-line hormonal therapy for prostate cancer: planned interim analysis results" ASCO: GU 2009; Abstract 173.
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by womanhealth-lab2 | 2009-10-11 11:25 | 海外の医療健康情報

Vol113.生活指導と体重管理指導は、妊娠体重の増加を防ぐ?

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2009年2月10日に『産科学と婦人科学』の2月号で報告された研究結果によると、食事のおよび生活習慣に関するカウンセリング・プログラムを行うことは、妊娠中の体重増加をより少なく防ぐ可能性があるそうです。

過度の妊娠期間中の体重増加が、妊娠合併症や、出産後の体重増加、肥満を伴うことが明らかな状況で、ノースカロライナ州シャルロットのカロライナ医療センターのシェリー・M・アズビー教授らの研究は、妊娠中の過度の体重増加を食い止めるための介入を行うことの重要性を示唆しています。


研究は、食事や生活習慣に関する低予算でできるカウンセリングを行った妊婦グループと、何も行わないグループを比較したもの。

100人の妊婦のうち、57人に体重管理や生活指導を念入りに行い、43人には通常通りの指導を行った結果、念入りにカウンセリングを行ったグループは、そうでないグループに比べて妊娠中の体重増加が少なかったそうです。

さらに帝王切開も通常のグループでは58.3%もあったのに対し、しっかりカウンセリングしたグループでは25%に留まりました。

新生児の体重も、体重管理をしっかりしたグループのほうが少ないことから、教授らは、妊娠中に体重管理や生活指導をしっかりと受けることで、妊娠前後のトラブルや、出産に伴うリスクを下げることができるかもしれないとし、さらに、体重が多い太り気味の女性に、妊娠前から体重管理や生活指導のカウンセリングをおこうなうことも、重要であることを指摘しています。
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by womanhealth-lab2 | 2009-10-11 11:20 | 海外の医療健康情報

Vol112.腰や首の痛みにもっと運動療法を取り入れるべき

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ノースカロライナ大学ジャネット・フレブルガー教授らの研究によると、過去10年の研究で、腰や首の慢性痛には、運動療法が有効であることが明らかであるにもかかわらず、約700人の首や腰の慢性痛の患者のうち、医師による運動療法の処方を受けているのは、わずか14.4%しかいなかったことを、2009年2月号の『Aethritis Care』に発表しました。

574人の慢性腰痛患者、110人の慢性的な首の痛みを持つ患者に電話調査を行い、運動に関するアドバイスや処方をしてもらった人は48%にとどまりました。

そのうち14%が医師から運動を勧められており、63.8%が理学療法士から、33.1%が指圧療法士から運動を勧められたそうで、運動療法には医師よりもコメディカルスタッフが深く関与していることがわかりました。

慢性痛を緩和する運動療法の方法や効果の研究が進む中、それをどのように実際の治療に取り入れ、誰が指導をして、誰が治療効果を確かめ、治療を進めていくかが明確ではなく、運動による治療が約半数にしか行き渡っていないことが判明し、今後の治療体制の整備が待たれるところです。
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by womanhealth-lab2 | 2009-10-11 11:19 | 海外の医療健康情報

Vol.111 全力自転車こぎ運動で、働き盛りの血糖値や脂質が改善する?

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スコットランド・エジンバラのヘリオット・ワット大学のジェームス・ティモンズ教授らは、医学ウェブサイト『BMC Endocrine Disorders』に、「3分程度という短時間の全力疾走の自転車こぎ(エアロバイク)運動は、若者や中高年の血糖コントロールを改善する」という研究結果を発表しました。

実験は、平均年齢21歳の16人の健康な男性に、30秒間だけ全力で固定式の自転車(エアロバイク)をこいでもらうことを4回~6回、2週間だけ繰り返してもらい、血糖値や脂肪の量などを測定しました。

この実験の運動時間と運動量は、1週間で250キロカロリー、合計たった15分しか必要としなかったということです。

実験の前後では、血漿グルコースが平均12%減少し、血糖値が平均37%減少し、過剰になると細胞に悪影響を与える遊離脂肪酸の量が平均26%減少しました。

インシュリン感受性に関しても、通常の有酸素運動としても自転車こぎでは6%の改善だったのに対し、今回の全力自転車こぎ(エアロバイク)運動では、23%の改善を示しました。

この結果について、教授らは、今までの研究ではどんな運動をどの程度行えば糖尿病を予防、改善するのかあやふやだったことがごく少数の研究結果だが、ある程度数値を示すことができたことを評価。

さらに有酸素運動は時間がかかるという理由で、長続きしなかった忙しい人々のための肥満や2型糖尿病予防法として、注目すべき結果となるかもしれないと述べています。

Babraj JA, et al "Extremely short duration high intensity training substantially improves insulin in young sedentary males" BMC Endocr Disord 2009; 9: 3.
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by womanhealth-lab2 | 2009-10-11 11:16 | 海外の医療健康情報

Vol110 骨盤臓器脱と体重減少

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米国ワシントンDCのワシントン中央病院に所属するベラ・クディッシュ博士によると、減量は骨盤臓器脱の進行に影響を与えないことを、1月号の『Obstetrics & Gynecology(産婦人科学)』に発表しました。

骨盤臓器脱(POP)は、中高年女性や出産回数が多い人、巨大児出産を経験した人に多く、骨盤の内部にある子宮や膀胱、直腸などが、体の外に出てしまう病気で、脱出した臓器別に子宮脱、直腸瘤、膀胱瘤などと呼んでいます。また肥満や慢性的な便秘で、排便時に強く息んでいることが習慣的になることも原因といわれます。

16608人の女性を対象とした5年間の調査の結果、BMIが25を超える女性は、そうでない女性に比べて、骨盤臓器脱になる率が高く、肥満や肥満気味であることが、骨盤臓器脱を発症に関係することがわかりました。

しかし、10%の体重減少をしても、骨盤臓器脱の進行を食い止めたり、症状を改善するのには、役立っていないことも判明。治療法のひとつとして減量が組み込まれていますが、10%程度では、症状の改善に結びついていないことがわかりました。

研究者は、「骨盤臓器脱の進行を食い止めるには、10%以上の体重減少が必要である可能性が考えられる」と話しており、引き続き研究を続けるようです。

『Obstetrics & Gynecology』2009;113:81-88
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by womanhealth-lab2 | 2009-10-11 11:15 | 海外の医療健康情報

Vol.109 ウォーキングは閉塞性動脈硬化症(PAD)を改善する

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米国医学雑誌『journal of the American Medical Association』の1月14日号に掲載されたノースウエスタン大学メアリー・M・マクダーモット博士らによる研究結果で、ウォーキングや軽いレジスタンス運動(ダンベル運動や、腹筋運動、スクワットなど)は、閉塞性動脈硬化症(PAD)の改善と、患者のQOLを向上させるそうです。

閉塞性動脈硬化症(PAD)は、手足に血液を送る末梢動脈が加齢や生活習慣(肥満、喫煙、ストレスなど)で硬くなったり、コレステロールがこびりついて、血小板が溜まったり、血流が悪くなった部分の血管内部が炎症を起こしたりするタイプの動脈硬化です。

症状としては、①朝晩の手足の冷え、しびれ、②慢性的な水虫や傷が治りにくい、③入浴後でも手足が白っぽく、赤く火照った感じがしない、④歩行時の痛み(特に少し歩いて痛みを感じ、少し休むと痛みが引くような場合が典型的な症状で『間欠性跛行(かんけつせいひこう)』と呼ばれ、早期治療のためにも、医師に相談する必要があります)などがあります。

間欠性跛行は、リウマチや関節痛、脊椎管狭窄症(姿勢の歪みなどによって脊椎管の中の神経が圧迫されて痛みを感じる症状)などと似ているために、整形外科にずっと通院したまま見過ごしてしまう場合もあります。上記のような症状があれば、整形外科と同時に、血管の病気も考えて、手足やソケイ部(腿の付け根)や膝裏の脈動を調べてもらいましょう。

50歳以上で、喫煙者、男性で、ストレスが多く、脂っこい食事が好きな人は高リスク群です。

閉塞性動脈硬化症(PAD)の患者さんには、間欠性跛行(かんけつせいひこう)を伴う人が多かったため、ウォーキングなどを治療に用いることが、患者さんの負担になるとの見解もありましたが、この研究では、間欠性跛行がある場合でも、軽い運動による改善効果を期待できるとしています。

また、閉塞性動脈硬化症(PAD)になると、手足の血流が悪くなり、十分に栄養が行き届かなくなるため、運動時に痛みやしびれを感じ、徐々に体を動かすのに必要な筋肉も減り、特に脚のふくらはぎの筋肉が弱くなることで、歩いたり、階段を昇ることが辛くなります。

軽い筋トレなどは、このような筋力低下を防いで、ウォーキングの能力を維持、向上するためにも、意義があることを指摘しています。

14 January Issue,Journal of the American Medical Association
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by womanhealth-lab2 | 2009-10-11 11:13 | 海外の医療健康情報