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Vol.61 慢性的な苦悩が高齢者の知的能力の衰えを加速する

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米国シカゴのラッシュ大学メディカルセンター R.ウィルソン博士らの研究で、不安や怒りなどの負の感情を抱きやすく、そうしたことに始終悩まされている人は、加齢による知的な衰えがより早く、より起こりやすいことがわかりました。博士らは1,256人の高齢者を対象に、12年間にわたって調査を実施しました。調査開始時点では全員が認知症などの障害を発症していませんでした。その結果、負の感情に悩まされることが多い人は、そうではない人に比べて、40%も軽度認知障害(認知症とは診断されないが記憶力や認知機能の低下が見られる状態が起こる率が高かったそうです。軽度認知障害は、正常と認知症の間のグレーゾーンにあり、やがてアルツハイマー病を発症する可能性が非常に高いとされています。アメリカでは高齢者の約15%に軽度認知障害が見られます。博士は、慢性的な悩みや負の感情がなぜ早期の認知障害を引き起こすのかは今のところ明らかではないが、動物実験では慢性的なストレスが学習と記憶に関係する脳の機能を損なうことが分かっており、人間にも同じことが言えるのではないかと述べています。さらに動物実験ではそうした症状に抗うつ薬が効果を発揮しており、認知症の予防的観点からも、今後慢性的なストレスが人間の脳に与える影響の研究を進める必要があるとしています。

Neurology 2007年6月12日号
by womanhealth-lab2 | 2008-02-21 21:46 | 海外の医療健康情報
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