乳がんは女性のがんで第1位の罹患率で、毎年約4万人が罹患し、1万人強が死亡しており、欧米のトレンドに反して日本のみ、乳がん死亡率が上昇傾向にあります。一方で乳がんは早期発見・治療すれば、5年生存率はほぼ100%。しかし日本人女性の乳がん検診受診率は20%台と欧米の70%以上に比べて、極端に低く、検診を受けていないことが、乳がん死を増やしている理由の一つと考えられます。 乳がんの罹患率は30歳頃から急速に増えます。乳がんを早期発見するためには、マンモグラフィ検査が有効ですが、日本人や若い女性に多い乳腺密度の高い乳房では、X線の感度が低下して、乳がんの病巣が観察しにくいという弱点がありました。 そこで造影剤を注入してより鮮明に乳がんを描出するマンモグラフィ検査機器が2011年2月3日より日本でも提供が開始されました。この造影マンモグラフィは、検査の直前にヨード造影剤を注射して撮影を行いますが、通常のマンモグラフィとほぼ同じ手順、約5~10分程度で撮影できます。 乳がんはがんが増殖、転移するために新しい血管(新生血管)をつくります。その新生血管の様子を鮮明に映し出すのが造影マンモグラフィ。従来のマンモグラフィ検査で乳がんが疑われる場合、MRI検査を行っていましたが、MRI検査は費用と時間がかかるデメリットがあり、その部分をカバーしてくれるのが造影マンモグラフィです。 乳がんの病巣があるかどうか、乳がん特有の「組織のひきつれ」や「左右の非対称性」、「組織の構築の乱れ」、そして「微細な石灰化」なども鑑別することができ、新生血管の様子から、がんの広がりを判断して、乳房を温存するか切除するかについても判定することができ、さらに最近よく行われている外科手術前の抗がん剤などによる化学療法の効果を判定するのにも役に立つと考えられる造影マンモグラフィ。まだ画像診断法などが確立されていませんが、画像の鮮明さゆえに、より正確に乳がんの病巣を観察できることから、大きな期待が寄せられています。 医療ジャーナリスト 宇山恵子 GEヘルスケア造影マンモグラフィに関する記者発表会 2011年2月3日
by womanhealth-lab2
| 2011-03-17 10:20
| 日本の医療健康情報
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