イタリアのパヴィア大学ルチアーノ・バーナーディ教授らが、6月30日付の『Circulation』という雑誌で紹介した内容によると、心血管の動きや心肺機能は、音楽の強弱やリズムによって影響を受けることが、音楽療法を用いた実験で明らかになりました。 「音楽が心肺機能や心血管にもたらすメリットをうまく利用して、血圧の上昇を抑制することもできるかもしれない」と博士は述べています。 実験は平均年齢25歳の24人を対象に行われ、被験者の半数がコーラス(歌唱)の経験があり、のこりの半数は音楽のトレーニングを行なったことがありませんでした。 被験者は横になり、リラックスして目を閉じながらヘッドフォンで音楽を聴きました。使った音楽は、 ①ベートーベンの交響曲第9番のアダージョ ②プッチーニのトゥーランドットから、叙情的なアリア「誰も寝てはならぬ」 ③バッハのカンタータBMW169 ④ヴェルディーのオペラ、「ナブッコ」から「行け、我が思いよ」 ⑤ヴェルディの「椿姫」から「乾杯の歌」 この結果、音楽のクレッシェンド(だんだん大きくなる)や強調などによって、血圧や心拍数の上昇や血管の収縮などが誘発されたそうです。 特にプッチーニの「誰も寝てはならぬ」は、心血管に与える影響が大きく、バッハのカンタータは、心血管の緊張を緩める効果があるそうです。 研究結果では、コーラス(歌唱)の経験がある人とない人の差は見られなかったようです。 心拍数や血管の収縮(自律神経系の反応)には、音楽の強弱(クレッシェンド)やリズムの速さに同調する傾向があり、この特徴を音楽療法に生かして、心血管障害の治療や予防に役立てることができるかもしれないとバーナーディー教授は述べています。
by womanhealth-lab2
| 2010-05-18 11:30
| 海外の医療健康情報
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